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担い手

更新日:2004.05.01

4月28日、山形県醤油味噌工業協同組合第57期通常総会が山形市で開催された。県の組合員は43社である。私はその中で一番小さなみそ屋である。総会も終り、懇親会が夕方から行われた。みその全国ベースでの出荷量 も毎年少しずつ減少している。そんな中で、山形県内のみそ屋さんは地元密着で長い間仕事をしてきた。今、時代の変化の波にもまれ、いろいろと苦労している。みんなで「どうしよう」と酒をのみながら語らい合った。地域や近所の小売店が存在していた頃は、みんなそれなりに地元で商売ができた。ところが今は、小さな小売店はつぶれ、山形も、大手スーパーやコンビニのみになってしまった。よほどの規模でないと取り引きはできない。

 現在、厚生労働省の「みそ製造」の営業許可証をとっているのが全国で5,700事業所、そのうち、わたしたちが加盟している全国味噌工業協同組合の加盟企業は1,350社である。その他にも、個人で自家製みそを造っている人も大勢いる。みそは「手前味噌」という言葉がある様に、自分が造ったみそが一番おいしいのである。つくった人の数だけ味の種類がある。 味文化の王様である。その担い手がどんどん減ろうとしている。戦後、多くのたべものは、小さな作り手が淘汰され、ある程度の規模に集約されてきた。その事によって、味の違いもなくなりさびしい食文化になってしまった。みそはまだ、私の様な小さな製造業者がたくさん残っている。「手前味噌」という言葉を残すためにも、全国のみそ屋さんは、がんばらなくてはならない。みそは、味文化の基本であり、日本が誇れる調味料である。

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