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今月のコラム

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スローフードニッポン 2009

更新日:2009.11.01

「テッラ・マードレ」(生産者会議)を中心として、横浜ベイエリアでスローフードをテーマに様々なイベントが開催され、スローフード運動の提唱する農業・畜産業・漁業の復権、生物多様性について、みんなで考えようと行われた。
 10月23日(金)横浜開港記念会館で「テッラ・マードレ・ジャパン2009」が開催された。「テッラ・マードレ」は、良質な食品の生産者と優れた味覚を持ち、人間を尊重する品質を求める人々をつなぐことを目的とする世界食生産者コミュニティ会議で、2004年・2008年イタリアのトリノで開催され、今回はアジア版として日本で行われ、スローフード運動の創始者でり、スローフードインターナショナル会長のカルロ・ぺトリーニ氏の基調講演があった。
 夜は、スローフードディナー(横浜マリンタワー)「山形食材を楽しむ夕べ~アル・ケッチャーノ」スローフード山形の会員で仲間である奥田政行シェフが作った山形県庄内地方のシェフの地元の食材を使ったおいしいイタリア料理を堪能した。

24日(土)・25日(日)スローフードマーケット(横浜市北仲道地区)開催。マーケットは、23日からはじまっていたが、私はテッラ・マードレに参加していたので、24・25日の二日間参加した。ブースNo.12「スローフード山形」に山形の会員といっしょに参加し、味噌を出品した。24日、スローフードインターナショナル会長カルロ・ペトリーニ氏一行が、会場を訪れた。私は、カルロ会長に味噌の説明をした。
 また、25日の夜は、「青森シャモロックナイトwith奇跡のリンゴ~レストラン山崎 山崎隆シェフ」が開催された。このディナーでは、木村秋則さんの話と共に。山崎シェフの地元、青森県のスローフードな素材と自然栽培の木村さんのリンゴを使ったおいしいフランス料理を堪能しました。
 山崎シェフには、以前、第3回語らいステージで大変お世話になりました。このディナー会場には木村さんのリンゴ人生を描いたベストセラー『奇跡のリンゴ』(下記【書籍紹介】を参照)の著者・石川拓治さんも出席されており、石川さんから会うなり「長谷川さんのホームページ見たことあるよ。」と言われ、うれしかった。

日本のスローフード運動をみていると、生産者の参加者が少ない。今回の「テッラ・マードレ」もそうだった。大量生産・大量販売の日本では、食べ物にたずさわる様々な小規模事業者は、どうしているのであろうか。
 スローフード運動の一つに「まじめで、いいものを作っている小さな生産者を守ろう」と言う運動がある。世界を見渡すと、農業などの一次産業を大切にしている国が、まだまだ多い。そういう国々には、スローフードな生産者もまだまだいる。日本ももっと農業・漁業・畜産業を大切にしていかなければならない。

左:木村さん 中央:山崎シェフ 右:私

左:木村さん 中央:山崎シェフ 右:私

左:石川さん 中央:木村さん 右:私

左:石川さん 中央:木村さん 右:私

あぁ、大変です

更新日:2009.10.01

 私の仕事は、自営業という形態の「家業」をやっています。私と妻とパートさん一人です。この時期は、味噌の仕込みをしており、毎日肉体労働しております。今回の不景気で、私の様な、ほんとうに小さい製造業者は立ち行かなくなってしまうのだろうかと思っていた所、少し元気が出てきました。「亀井金融大臣」です。この文章を書いている段階では、内容はわかりませんが、亀井大臣の「がんばってほしい」とのメッセージに、多くの人が勇気づけられたと思います。

9月1日(火)北海道石狩郡新篠津村、信じられない秋晴れである。
 山形の地元用の仕込味噌の原料の大豆を作ってもらっている井伊さんの所にお伺いした。北海道には梅雨がないはずだが、今年は梅雨空で雨が多く、しかも低温気味であった。大豆の生育状況を大変心配してきたのだが、今日はスカッと秋晴れである。井伊さんは「もう一週間早く今日の天気だったら…」と言った。現場を見ると、成育が遅れ、大豆の実入りや形も良くない。あとは、これからの天気次第だそうで、祈るしかない。

左:井伊さん 右:私

左:井伊さん 右:私

9月2日(水)北海道上川郡剣淵町、今日も晴れである。
 私の製品味噌の大豆を作ってもらっている、あい菜農園の佐藤さんの所に行った。佐藤さんの所では、大豆以外にもジャガイモやカボチャやソバやその他いろいろと栽培している。今年の長雨や低温で、作物によっては収穫をあきらめなくてはいけない場所もあると話をしてくれた。大豆は井伊さんと同じ様な状況で、天気次第だそうです。私もいっしょに祈りたい。

左:佐藤さん 右:私

左:佐藤さん 右:私

黒大豆みそ

更新日:2009.09.01

8月31日、私は、大豆の栽培確認のため、仙台から札幌へ、飛行機で移動した。
夜、ラーメン店が両側に10数件軒を並べているススキノに行った。各店の前では、自店の特長を看板に書いてあるので、看板を見比べて探す。黒大豆みそを使っているみそラーメンのお店を見つけて入った。
 しょうゆやみその原料の大豆、塩ラーメンの塩は北海道産だという。大変まじめで誠実な店であった。麺も北海道産の小麦を使用していた。麺の話であるが、大手製麺メーカーの麺を使うと、その麺に合わせてスープ等の味ができあがっていくという。店の味を作るために、小さな麺屋さんに、自分の作ってほしい麺をお願いしているそうだ。とにかく、製造原価は、よそと比べると大変なのではないかと思う。
 私は、『手造り黒豆みそ』を、去年の12月1日に新発売しましたが、黒豆みそを見た事も食べた事もない人がほとんどで、周知販売に大変苦労しています。黒大豆100%使っているので、黒大豆のおいしさとクセが出てきます。普通の大豆を使っている『手造り長谷川みそ』と黒大豆を使っている『手造り黒豆みそ』の両方をお客様に食べてもらうと、両方ともおいしいが、みそ汁に使うのは、普通の大豆の『手造り長谷川みそ』の方がいいみたいだと言う人が多い。『手造り黒豆みそ』にハマっているお客様からは、大変なお褒めの言葉をいただいている。
 黒大豆みその利用の仕方は、みそ汁はもちろんの事いろいろな料理にと多様だ。使ってもらって初めて黒大豆みその良さが分かってもらえると思っている。黒大豆みその独特の味とおいしさを、皆様にどうしたら分かってもらえるか。黒大豆みそは全国的にも未知の世界であり、認知してもらえるには時間がかかるかもしれないが、1つのみその文化として普及していきたい。
 さて、黒大豆みそラーメンだが、その特長をたずねたら、「こくと甘さです」と話してくれた。

「ハッセ、私の悪友です。アハハハ」(ハッセは私のこと)

更新日:2009.08.01

 7月4日(土)・5日(日)パシフィコ横浜展示場で、「グリーンEXPO ~エコとオーガニック~」が開催され、さまざまな催物が行われました。私は「食とおいしい暮らしゾーン」の塩川先生主催の食の学校と仲間たち(56社参加)のコーナーで、みその展示販売をしました。私の場合は、品数が少ないので、1ブース(一小間)を2つに分けて、お世話になっている木村興農社・木村秋則さんと出店しました。
 セミナープログラム(有料)で、4日(土)12:50~14:20まで「りんごに愛された男 木村秋則さんの世界」(インターネット予約で満席)で、木村さんが講演をしました。その中で、木村さんに関わりのある商品が木村さんから紹介され、私のみそも紹介されたそうです(残念ながら私はブースにいて聞けませんでした)。講演が終わったあとセミナー参加者が、どっとおしかけ盛況になりました。講演を終えた木村さんは、ブース前のお客様に、「ハッセ、私の悪友です。アハハハ」と。私は木村さんと悪さをした事はありませんが、大変うれしい表現です。
 さて、エルニーニョ現象などによる異常気象で、長雨、日照不足、低温の影響下での全国的な農産物の生育が心配です。北海道も大変な状況で、大豆が心配です。9月1日より栽培確認に行きますが、どうか天候が回復しますようにと祈るばかりです。

左:木村さん 右:私

左:木村さん 右:私

温度

更新日:2009.07.01

 私は、4時40分の目覚まし時計で起きて、5時過ぎより午後8時過ぎまで仕事(仕込味噌と製品味噌の仕込み作業)をしています。7月31日まで続きます。
 4月、5月、6月、7月。そして9月、10月へと、みそ造りをしています。草花が芽を出して成長していくのと同じで、必要な温度がないと味噌は発酵しません。加温設備があれば、冬も気にする事なく、一年中仕込みができるのですが、天然醸造が私のやり方なのでそれはやりません。
  こうじ 造りは不思議なもので、人間の体温と似て、最高が36,37度が理想なのです。40度を超えると、人間同様、麹菌も重体となります。やはり、生き物が生きていける温度があるのです。
 今年は空梅雨であつい日が多いです。寒からず、あつからず、気候が温暖な所が一番住みやすいと思います。そんな場所を選んで移り住めばいいのでしょうが、実際には、生まれ育った所が生きていく場所なんですね。

新型インフルエンザで思った事

更新日:2009.06.01

5月30・31日、明治屋広尾ストアの創業祭での試食販売のために東京に出た。味噌の仕込みのため、4月から10月まで東京出張は少ない時期である。5月は、新型インフルエンザでマスクが不足になった。山形では、一人の患者も出ていないのに、マスクが、品切れになっている。私は、マスク持参で東京に行った。地方から東京に行く人は、マスクの着用が多かったが、都内では、思ったほどのマスク着用ではなかった。
 新型インフルエンザの問題は、私にも、いろいろ考えさせられる事がいっぱいあった。仕事ができなくなる事が想定される問題であるからである。“インフルエンザで仕事が止まる。まさかそんな事が!” 私たち食品関係者だけでなく、多くの人が思ったであろう。お店に人が来なくなる。物流はどうなるのだろう。新型インフルエンザにかかると製造も出荷もできなくなる。おそらく、ほとんどの人にとって、初めて悩む経験であったろうと思う。秋以降、また、再燃するかもしれないと言われている。大不況の中、どうしたらよいのやら、悩みが尽きない。

手造り黒豆みそレシピUp

更新日:2009.05.01

去年12月1日新発売した手造り黒豆みそのレシピ・春夏編がアップしました。去年の秋冬編につづく第2弾です。このコラムの上に黒みそレシピへの入口があります。クリックして、ぜひご覧下さい。
 黒豆みそは、全国的にほとんど製造されておらず、まだまだなじみの薄いみそです。ですが、黒豆みそには、黒豆ならではのコクとおいしさがあります。みそ汁はもちろん、各種料理、合わせみそにもと、用途いろいろで楽しみが広がります。
 このおいしさを、もっともっと、多くの人に知って欲しいので、春夏編・秋冬編として、これからも黒豆みそレシピ作成を続けていきたいと思います。
 さて、私たちは、毎日毎日、休みらしい休みもなくみそ造りをしています。ゴールデンウイークの期間中も「手造り長谷川みそ」造りです。豚インフルエンザの先行きを心配しながら、妻と二人で、一生けんめい肉体労働に勤しみます。

黒豆レシピ

更新日:2009.04.01

 3月10日(火)、黒豆みそレシピ収録のため、鈴木氏と一緒に京都に向った。昨年10月以来、2回目の手造り黒豆みそレシピの収録を、3月11日(水)レシピの制作者・料理研究家の小平泰子さんのレッスン場で行なった。
 その収録したものは、ただいま、鈴木氏が編集制作しており、近いうちにこのサイトに、今回の新しいレシピを動画入りでアップできると思います。
 昨年12月1日「手造り黒豆みそ」を新発売しました。黒大豆を使ったみそは、全国的にほとんど製造されておらず、手造り黒豆みその存在とそのうま味を理解してもらうのには時間がかかりそうである。この手造り黒豆みその普及と理解のために始めた黒豆みそレシピの作成を、今後とも続けていきたいと思います。

料理研究家:小平泰子さん

料理研究家:小平泰子さん

3月7日(土)、全国からスローフード会員が集まり、NPO法人スローフードジャパン2009年通常会員総会が山形県庄内地方三川町で開催された。今回は、私が所属するスローフード山形が開催運営を担当した。  今回の総会に合わせて、山形県、庄内地方の市町村、JA、栄養士会、学校関係者、経済界が一丸となって、7日(土)8日(日)の2日間、「食の都 庄内フェスタ2009」と称して、さまざまな行事が行われた。山形県知事も会場入りするなど、大変な盛り上がりをみた。「食」が、人間にとってどんなにか大切なものであり、人の心を動かすのかを実感した。
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前向きに

更新日:2009.03.01

2月というのに雪が少ない。私が小さい頃の山形の冬の風景とはまるで別世界にいる様だ。
 そう言えば、毎日テレビ、新聞、雑誌では不景気の話ばかりである。アメリカのサブプライムローンに端を発し、リーマンブラザーズで一気にふき出た今回の件。私には想像もできなかった事である。著名な大企業や経済評論家の皆さんも予想できなかったのだから、私の頭のレベルでは致し方ない。
 特に今年になってから、私のみその売り上げも前年比で割ってしまった。世間様と同様に、経費削減という事で、営業経費を押さえていた。私のような小さな無名のみそ屋が、東京でのPRを弱めていったら、一気に勢いを失ってしまう。私が一生懸命だから、お店の方も、お客様も応援してくれているのだから。
 経費削減をしながらPRをしていくには、どうしたらよいのか。一店舗のPR日数を一日減らし、前泊をやめて、朝早く山形から店へ直行する事にした。滞在費も今以上に節約する事にした。きのう(2月28日)から新宿高島屋の中にある紀丿国屋新宿店でPRをしている。
 2月は、いろいろと気が滅入っていて、青森の木村さんに電話をした所、木村さんはリンゴ畑で仕事をしていた。長話をしてしまった。やっと、ふっ切れて、前へ歩む事ができた。木村さんの事がまとめられている、幻冬舎発行の「奇跡のリンゴ」も17万部を突破した。こんな時代だからこそ、一人一人、少しでも前向きに生きていく事が、世の中をまた明るくしていくのかもしれない。

天然醸造

更新日:2009.02.01

 「手造り長谷川みそ」「手造り黒豆みそ」の原材料の大豆や米は、農薬や肥料を使わない困難な栽培法で作られています。
 今は真冬です。大豆を作っている北海道も、米を作っている青森県も、雪が深く、雪の下で農地は春を待って、休んでます。私も山形で、厳しい肉体労働の骨休みをしています。
 実は、私のみそ造りは、発酵させるのに米麹しか使っておりません。しかも天然醸造なので、温度がかからないと発酵が始まりません。冬はみそ造りを休んで、あたたかくなる春を待っています。
 私の家の仕事は、もともと麹屋なので、冬のみそ造りはしたことがありません。実は以前、寒造りに挑戦したことがあります参照:今月のコラム・2002/2/6「寒仕込み」。しかし、自分の納得のいくみそになりませんでした。それで、全国味噌協同組合連合会の技術部門を担当している(社)中央味噌研究所の先生に相談したところ、「長谷川さん、日本酒じゃないのだから、寒造りにこだわることはありません。それに、長谷川さんの天然醸造で、米麹しか使わない造り方ではしてはいけません。」と言われた。それ以来、きっぱりとあきらめました。太陽の温もりで、味噌が気持ちよく発酵していく、それが私の天然醸造、みそ造りです。

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