今月のコラム
columnこだわり
たまたま自分が人間として生まれた限り、誰でも人間としての自分の存在を確認して生きていたいと思うものである。物づくりも同じである。私のみそ造りの原材料である大豆や米そして塩もこだわりの素材である。大豆では北海道の佐藤さん、井伊さん。米では青森の木村さん、山形の米の道の会の皆さん。それぞれが自分の存在をかけて、私に大豆や米を作ってくれている。「お前のために作っているんだ。」この言葉は、私のみそ造りの最中にも、大豆や米が直接語りかけてくる。塩にしても、「伯方の塩」には塩田復活の大衆運動の歴史があり、伊豆大島の「島の塩」深層水の塩「ハマネ」にも伊豆大島の昔からの塩づくりの歴史があり、世界で初めて深層水の塩をつくりあげた地なのである。それぞれにすさまじい思いがあり、ながい時間が込められている。大豆・米・塩……みそ造りのただの材料ではない。様々な人たちのこだわり、思いが私のみそ造りを動かしていく。これらの原材料があるから、私の無添加・手造りのみそ造りが生かされていくのである。
私のホームページを見た東京の女性の方から、先月みその注文がきた。昔たべたおばあちゃんのなつかしい手造りみそをたべたい。いろんなみそをさがしてたべているが、同じ様なみそにめぐりあえない。早速みそをお送りした。返事の電話がきた。大変おいしかった。でも、ちょっと私がさがしているみそとは違う様だ。でも、またたのむ事があるかもしれないのでよろしくお願いしますとの事であった。このお客様は、自分のルーツをさがす様に、あのおばあちゃんの手造りのみその味を求めて、また旅をするのであろう。
私のお客様には、こだわりの人が多い。「みそだけは、おいしい物をたべたい。」「おいしいみそと米があれば、生きていける。」こだわりの連鎖と思いの伝達。私は皆様に、こだわりと思いを伝えられるみそを造っていきたいと思う。
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