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私の青空2002(内館牧子作)

更新日:2002.05.01

 NHK月曜ドラマシリーズ「私の青空2002」(午後9時15分~)が4月1日より8回シリーズで始まった。4月は第5回まですすみ、5月13日(月)からあと3回番組が残っている。一昨年の4月から放送された朝8時15分からの連続ドラマ「私の青空」の続編である。このドラマは、青森県大間町のまぐろ漁師の娘なずなが、高校の先輩でもある健人と結婚式の三三九度の最中、ボクシングジムの娘の千代子とボクシングをあきらめきれない健人が失踪してしまう。すでに妊娠していたなずなは、未婚のまま太陽を出産する。太陽の父親健人を探すため上京して、築地でくらし始める。
 今回は、太陽が小学校3年生。なずなは学校の給食調理員そして夜は武蔵氷業でアルバイト。父 健人はボクシングジムのトレーナー。籍を入れずシングルマザー(未婚の母)として太陽といっしょにくらし、健人は同じアパートの違う室に住み「いい関係」を作っていた。ところが健人がボクサーのスカウトでりんごの里青森県岩木町を訪ね、りんご農家の娘小雪(菊川怜)と出会い、恋愛におちいる。太陽と健人は親子関係であるが、籍が入っていないなずなと健人は他人の関係になる。シングルマザーなずなが人生の地獄をみるというストーリーで、今のところすすんでいる。

 私の無農薬みその原料である無農薬無肥料米「あきたこまち」を作ってくれている木村秋則さん。番組のおわりに出演者及び関係者の名前が字幕に出るが、そこに農業指導木村秋則と出てくる。またドラマの中でスノーモービルに乗って今まで二回出演している。29日の第5回「父をたずねて三千里」で、太陽が小雪といっしょにいる父健人をたずねて一人岩木町を訪ね、雪の中、迷子になっているところを助ける役だった。

 また、映像に出てくる木村さんのりんご畑、りんごの木に話しかける姿、小屋、自宅。私は、このドラマが始まって1ケ月ずっと考えていた。何だ、このふんいきは。木村さんのふんいきが、このドラマをおおっている。ドラマの舞台は青森。本州最北端の大間の漁港。そして今回は、冬の津軽。雪の中のりんごの木。そう言えば、このドラマが始まる前、木村さんが私にこう言っていた。今度のドラマは「りんごの花が咲くまで」がテーマの1つになっているんだと。このふんいきは、りんごの無農薬無肥料栽培に一生を捧げた木村さんの苦しみ、悲しみ、やさしさ、そしてよろこびなのかもしれない。このドラマは、いいとか悪いとかを超えて、一生けんめい生きる人生の「実感」を表現したかったのかもしれない。

 ※「今月のコラム」のバックナンバー[2001]2/1・10/3・11/5・12/4・[2002]4/2 に木村さん関連が載っていますので、ご参照下さい。

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