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手間暇かけて(5)

更新日:2016.11.05

手造り

手間と暇(ひま)。労力をかけて仕事をする事。

今回は「手造り」について、書きたいと思います。
前回の手間暇かけて(4)で「天然醸造」について書きましたが、「手造り」も公正表示のルールがあります。
1)食品衛生法施行規則別表第1に収載されている添加物を使用しない。
2)加温により、醸造を促進しない。
3)こうじ蓋によって製麹した「こうじ」を使用すること。
という事です。
1)2)は、前回書いた「天然醸造」の規定です。
そして3)が、手造りの大事な条件となっています。

みそは、昔は自分の家で造っていました。そして「手前みそ」で自分の家のみそはうまい!と自慢をしていました。今でも、自分でみそを造ってる人がいます。こうじを買って、鍋で大豆を煮て、塩と合わせて容器に入れて、数ヶ月寝かしておけば、味噌になります。こうじをご家庭で造るのは難しいです。自分で造るにしても、こうじは生き物で、しかも4日間かけてできるので、知識と経験がないと良いこうじは造れません。よってこうじを買ってという事になります。
私の家はもともと麹屋で、私は小さい頃、近所の人から「麹屋の孫」と呼ばれていました。こうじ蓋でこうじを造って荷車、冬はソリなどで配達をしていました。鉄道が発達してからは、こうじ蓋(山形では板麹と言う)を何枚も重ねて背中にせおって、こうじを各家庭に届けていました。大変な重さになります。こうじを仕入れて、背中でせおって売りにでる『しょいこ』と呼ばれる人もいました。麹屋さんにとって、昔の良き時代です。みそは今、ほとんどが機械で製麹されております。私の様な麹屋さんの流れを受け継いでいる小さな事業者でないと、こうじ蓋のこうじを使ってみそを造るところは、非常に少ないと思われます。「手造り」という表示は、天然醸造プラスこうじ蓋で製麹された「こうじ」の使用が条件となっており、現実的には、こうじ蓋で大量の「こうじ」を造って、大量のみそを造るという事は、非効率です。
味噌業界では、「手造り」は、こうじ蓋で造った麹を使用したみそでないと、「手造り」の表示の条件が満たされません。公正表示のマークが付いているみそで、「手造り」と表示しているのは、スーパーや百貨店では、見かける事がほとんどないと思われます。私の「手造り長谷川みそ500gカップ」の丸ラベルの左端に「板こうじ」(山形で使用されている用語で杉の板で造られている木箱で造ったこうじ) と書いています。これが、こうじ蓋で造られている「こうじ」です。

私は、家族が生活していければ良いと思っています。地道にこつこつとおいしいみそを造って、お客様に喜んで頂ける様、がんばっていきますので、これからもよろしくお願い申し上げます。

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