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今月のコラム

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まさか

更新日:2008.07.01

6月14日(土)朝5時半から、いつもの様に仕事をしていた。午前8時43分ごろ、突然、グラッときて、しばらくゆれている。地震である。私は、お釜の火を急いで消した。地震がきてビックリしたが、それ以上にビックリしたのが「まさか」である。山形では、6月25日、中山町(山形市の隣にある町)に大きな地震が来ると、インターネット上で情報が飛びかっているとの話を知人に聞いたばかりであった。とっさに中山町は大丈夫かなぁと思った。実際は、岩手・宮城内陸地震であった。
 「まさか」にも、絶対にありえないと考えてる「まさか」と、もしかしたら、あるかもしれないと考えられる「まさか」がある。今回は後者であった。中国・四川大地震、そして、岩手・宮城内陸地震。そして、地球温暖化問題。私達は、まさかそんな事はありえないと考えることから、まさか本当にあったりしてと考えなければならない時代を迎えたのかもしれない。
 私は、今度もっと大きな地震がきたら、仕事場が壊れてしまうのではないかと心配したり、地球温暖化によって、これから大豆やお米が今までのように順調に入手できなくなるのではないかと、不安を抱いたりしている。原材料が入らなければ味噌は造れない。お客様が私の味噌をまっている。そして、私にも家族の生活がある。
 「まさか」をいつも心のすみにおいて、いろいろと手を打っていかなければならない時代になったのかもしれない。

仕込味噌

更新日:2008.06.01

私の事業所名が、「長谷川の山形仕込味噌」と言います。仕込みという用語は、国語辞典に「酒、みそ、しょうゆなどをつくるために、原料をまぜ合せておけなどに入れること」と書いている。
 かんたんな話が、仕込味噌は熟成していないので、すぐにたべられないみそである。
 私の家はもともとが麹(こうじ)屋です。昔から山形の各家々では麹屋さんから、麹を買って、大豆を煮て、塩とまぜて自宅のおけに入れて、重石をして、熟成させて、おいしい自家製みそをたべていました。
 今では、自分でつくる人は少なくなり、麹屋さんに仕込味噌をつくってもらい、自分の家のおけにねかしています。
 4月から7月まで、その仕込味噌を、製品みその合間をぬって造っています。毎年、注文の量も少しずつ減ってきました。どこかで仕込味噌も大きく減ってくるのではないかと考えていましたが、どうも今年が転機の始まりになってきそうな気がしています。お客様も高齢となり、原料高燃料高で食品が相次いで値上げになり、一番大きい要因は後期高齢者医療制度による年金の天引きで、さいふのひもが固くなってしまい、造る量が減ってきました。
 今のご年配の方々は、生まれた時から、手造りの自家製味噌を毎日味わってきました。仕込味噌の衰退は、手造りを実感できるチャンスを失う事と同じ事です。また、「手造り」が遠くに行ってしまいそうです。

ラベル

更新日:2008.05.01

4月19日(土)、山形デザイン専門学校の後平先生、鈴木先生と学生さんが、私のみそ造りの見学に来た。前期の授業で、私の味噌の「ラベルのデザイン」がテーマとして取り上げられた。ラベルのデザインは今まで、ラベル会社のデザイナーの人に作ってもらっていたが、今回は若い学生さんがデザインしてくれる事になった。11月にラベルを一新する予定である。若い感性でどんなラベルデザインに仕上がってくるのか、一抹の不安を感じながらも、楽しみに待っていようと思う。
 さて、4月26日(土)、27日(日)、パシフィコ横浜展示ホールCで「スローフード 2008」が開催された。山形スローフード協会の一員として参加した。大勢の仲間といっしょに「スローフード山形」のブースで、ワイワイガヤガヤと楽しんだ。
 食べ物は、おいしくて楽しいのが一番である。

小さな自営業

更新日:2008.04.01

4月1日、ガソリンの暫定税率が 1L当り25円下がる。今日3月31日朝、テレビを見ていたら、ある地方の小さな家族経営の石油店(ガソリンスタンド)の人が、インタビューで、「3月仕入れしているガソリンを、4月にすぐ下げる事はできない。」と。そこのガソリンスタンドの人は、田畑を耕して、食糧を自給しているので、どうにかやってこれたという話をしていた。
 小さな自営業は、私を含めて、自分の生活ができるかどうかの所で働いている。お金もうけなど無縁である。人が少なく、車も少ない地域でも、ガソリンスタンドは必要である。でも、仕事量も収入も少ない。こういった所に大手のガソリンスタンドはやってこない。必要性があるから、それでもそこで仕事をしている人たちがいる。
 グローバル化の中で、自由競争の名のもとで、ありとあらゆる分野で、小さい所が無くなっていく。私のいる味噌業界も、バイオ燃料のあおりで、輸入大豆が急騰し、味噌で使用されている遺伝子組み換えをしていない Non-GMO 大豆が少なくなっている。ある人の話では、「大手の味噌屋さんは、海外で契約栽培しているが、入札で買っている味噌屋さんは、品薄状態で、大豆の確保が大変。みそに使われている大豆は、95%輸入で、残りの5%の国産大豆も引っぱり合いになるのではないか」という事であった。大豆が入らなければ、みそは造れない。
 私は妻と二人の小さな自営業者である。このまま進めば、そのうち自営の農家も農業法人になり、ありとあらゆる分野で自営業はなくなっていくのだろうか?

山形スローフード 2月の行事

更新日:2008.03.01

2月27日午後1時より、一泊二日の予定で、雪深い山形県米沢市で、山形スローフード協会主催「雪菜」の収穫体験と「楠本農活性化塾」が行われた。楠本先生は元山形大学農学部教授(元山形スローフード協会員)で、定年で退官されているが、今回わざわざ来てお話をしてくれた。楠本先生は「集落農業と農業法人」のお話をされたそうで、私は残念ながら聞けなかった。私は用事があって、小野川温泉での夜の部からの参加になった。
 夜の部は、活発な意見交換の場となった。国の米の減反政策の話になり、農家の人から、実際、今、行われている減反の内容を聞いて??? 政策がころころ変わり、去年と今年でも、随分違う様だ。しかも、連帯責任などという江戸時代のような現実が出てきたと。そんな中、ある人が、米の減反解消につながる情報が入ってきたと教えてくれた。山形スローフード協会として、減反しないで減反を回避する方法について検証してみようとなった。それで、その情報はマル秘になった。
 いろんな話をたくさんして、勉強にもなった。そして楽しかった。又、こんな話も出た。「都会では何をするにも、お金がかかる。自分の時間を犠牲にしてでも、お金を稼いでいる。でも、収入が少なくとも僕たちには自由に使える時間がある。どちらがしあわせかわからないなぁ」と。
 私は、2月29日朝、山形7時11分発の東京行きの新幹線の中で、この原稿を書いている。都会の良さも地方の良さも、都会のきびしさも地方のきびしさも、行ったり来たりして実感している。生き方の問題である。私は、「都会がいいとか地方がいいとか」はっきりしている人が、しあわせかも知れないと思う。

グローバル化時代の食文化

更新日:2008.02.01

 1月24日(木)午後6時半より、東京財団創立10周年記念シンポジウムシリーズ VOL.1 として、「グローバル化時代の食文化」が開催された。パネリストとして、ジャコモ・モヨーリ氏(スローフード・イタリア スポークスマン)と、島津菜津氏(作家。スローフードジャパン「味の箱船」担当)、そして、モデレーター加藤秀樹氏(東京財団会長)の3氏で行われた。
 このシンポジウムで、様々な意見が述べられたが、私は3つの話に関心を持った。一つ目は、イタリアにナイフを作る名人がいて、その人の作るナイフには2つと同じものがない。二つ目は、農業でも、食品加工でも、作り過ぎない、食べ過ぎない。そして、三つ目は、DNA 的味と言う話であった。
 実は私のみそ造りに共通している内容であった。一つ目は、私のみそは天然醸造なので、みその熟成度や色づきがいつも違っているという事であり、二つ目は、手造りのため少量しか造れない。そして、三つ目は、DNA 的な味、私の言葉では「本能に訴えるおいしさ」という事である。
 今、1月31日。東京で、この原稿を書いているが、きのうの夕方から中国製餃子の農薬中毒が登場してきて、大きな問題になっている。画一的な味で、著名な大規模メーカー名で製造され、著名な大規模流通業者によって、日本中に広範囲に大量販売された。
 今、日本では、私のような零細小規模生産者が、原材料・燃料・包装資材・物流費の値上がりで、廃業に追い込まれ様としている。零細・小規模メーカーを助ける事ができるのは、消費者、お客様です。
 今、日本ではスローフード亡びてスローフード運動残る。良品亡びて、消費者運動残る。そんな時代に差しかかっていると思う。

新年あけましておめでとうございます

更新日:2008.01.01

 旧年中は、皆々様に大変お世話になりありがとうございました。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 今年は、私の人生にとって、何度しかない大事な年になりそうです。時代がまた変革していく始まりの様で、私なりに、主張と行動をしていきたいと考えています。今年から数年、精一杯生き抜いていきたいと思います。
 これからも、よろしくお願い申し上げます。

「手造りみそ雑感」(4)

更新日:2007.12.01

みその仕込が終り、私は、今、東京にいます。
 天然醸造で、手造りの庶民のみそ造りをしていますので、みそを発酵させるのには麹菌の力しかありません。酵母や乳酸菌などの発酵菌を使っていないので、雪の降る山形の冬では気温が低く麹菌の力だけでは発酵は進みません。だから、みそ造りは春まで休眠状態です。みその出荷は妻に任せ、私は紀ノ国屋さんと明治屋さんのみそ売り場で、「手造り長谷川みそ」のPRをしています。
 今年は、食品の原材料、賞味期限などの偽装や不正が話題になった年でした。大量生産の時代になって、原材料や製造方法が買う人に見えなくなってしまったからではないでしょうか。
 妻は、日本全国の個人で直に注文を頂くお客様と電話や短い手紙で会話をしています。私は売り場に立っていると、お客様から「食べているわよ。」「おいしいわよ!」「がんばってね!」と声をかけていただいています。私の姿を直に見て、お客様は安心しているのではないでしょうか。初めてのお客様でも、みその詳しい話をしなくても、みそをちょっと試食して、以心伝心(?)で買ってくれます。
 “食”の安心は、心に伝わる本物のおいしさではないでしょうか。

「木村秋則さん、美味しんぼに登場」

更新日:2007.11.01

私の「手造り長谷川みそ」の原材料のお米を作ってくれている青森県弘前市の木村秋則さんが、有名なマンガで最新作「美味しんぼ 100」(作・雁屋 哲 画・花咲アキラ 発行所・株式会社 小学館 定価530円)に描かれています。
 100巻の内容は、日本全県味巡り青森編で、青森県のおいしい食べ物がいろいろ出ています。そのなかの一つに木村さんのりんごの話が登場しているのです。しかも、木村さんのりんごが本の表紙を飾っています。本全体が読みごたえのある内容になっていますので、ぜひ読んでもらいたいと思います。
 私は、ただ今、11月5日まで、今年最後のみその仕込をやっています。ひたすら、肉体労働をしております。

93頁「青森編岩木山とリンゴ園」に登場しています。

93頁「青森編岩木山とリンゴ園」に登場しています。

 

農薬不使用肥料不使用

更新日:2007.10.01

10月1日(月)より、「手造り長谷川みそ」(自社黄色ラベル)のラベルの内容が変更になります。
[変更内容]
大豆:栽培期間中農薬不使用化学肥料不使用⇒栽培期間中農薬不使用肥料不使用
塩分:11.0% ⇒ 10.8%

栄養成分表(みそ100g当り)
エネルギー
194kcal
197kcal
たんぱく質
7.9g
8.1g
脂質
4.3g
4.5g
炭水化物
30.8g
31.0g
ナトリウム
4.4g
4.3g
(食塩)
(11.0g)
(10.8g)

 平成10年、青森の木村秋則さんに出会い、無農薬無肥料の世界に出あった。平成11年に木村さんのお米を使ったみそ造りを始めました。北海道の佐藤さんが、木村さんの指導で、数年の歳月をかけ、無農薬無肥料の大豆栽培を軌道にのせてくれた。農林水産省の農産物の新ガイドライン及びJAS法で、無農薬無肥料は、栽培期間中農薬不使用肥料不使用の表示になります。
 私の無添加・手造り・天然醸造と木村さん・佐藤さんの農薬不使用肥料不使用で、「自然の味、自然のおいしさ」をこれまで以上に追い求め続けたいと思います。
 青森の木村さん・北海道の佐藤さん、そしてお客様に御礼申し上げます。これからもよろしくお願い申し上げます。

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