今月のコラム
column大事な仕事
7月30日(土)山形の一般家庭用の仕込味噌が終わった。7月31日(日)は一日中、何もしなかった。今日は8月1日(月)です。疲れはて、からだの限界に達している。「これを書こう!」と思って、去年(2004年8月1日)の今月のコラムを開いてみたら、書こうと思っていた内容が、まったく同じであった。「ああ、疲れた。」毎年同じ仕事をして、同じ状況に陥っている。疲労の限界までは、「ここまでがんばっているんだから、私のみそはうまいんだ」とか言う動機づけになっていくが、これを越えると、からだが言う事をきかなくなり、心がバラバラになってしまう。今日は、医者に行く。
さて、私の手造り長谷川みそ(旧商品名 無農薬みそ)が、紀ノ国屋さんと明治屋さんで、私のラベルのデザインとは違った ラベルにて販売されている。私は時々、みそのPRで売り場に立っている。6月下旬、明治屋の広尾ストアーで売り場に立っていたら、年配の女性の方が立ち寄られ、「こんなおいしいみそを、毎日食べさせていただいて、ありがとうございます。」と両手を合わせて感謝された。私は大事な仕事をしている。
ふるさと認証食品
私の「手造り長谷川みそ」で使っている「深層海塩ハマネ」が“東京都地域特産品認証食品”として東京都より認証された。
伊豆大島で塩を造っているのであるが、伊豆大島の住所は東京都大島町である。東京で塩の産地? と思われるであろうが、伊豆大島は昔から塩の産地で、江戸時代は塩で年貢を納めていた。
都内のスパーで、この“ふるさと認証食品”のマークがついている商品を20見つけた。一つは大阪府で“発見”なにわの食品、大阪府認証でEマーク付きである。さらに別 の四角いシールにみんながえらんだいいものシールがついている。(http://www.Iimono-pro.com)商品は泉州特産水ナスのつけものである。もう一つは、岩手県のみそで“ふるさと認証品”・岩手県認証でEマーク付きである。都や府や県の認証である。内向きの地産地消、そして外向きの地域間競争が、これからも激しくなっていく事であろう。47都道府県で“ふるさと認証食品”が出揃うと、買う方からすれば、どれを選んだら良いか、わからなくなってしまう。まさしく知恵比べである。
ラベル表示の変更について
- 商品名の変更 (1)特みそ→手造り特みそ (2)特特みそ→手造り特特みそ (3)無農薬みそ→手造り長谷川みそ。 まず、無農薬みそが変更になったのは、平成16年4月1日より農水省の農産物の新ガイドラインの表示で、「無農薬」が「栽培期間中農薬不使用」の表示になり、農薬不使用みそとの表示ができないので、私のみそを代表するという意味で「長谷川」を使用しました。 次に手造りを商品名の頭につけました。「手造り」に関しては下記のスローライフ談話室第31話「手造り」に私が書きましたのでご覧下さい。
- 「手造り特特みそ」は、現在品薄状態です。塩を伊豆大島「島の塩」から山口県下関吉母(よしぼ)の浜 [日本海]「最進の塩」に変更して醸造中です。手造り特特みそは引き続き、バージョンアップして「手造りオリジナルみそ」(平成18年 秋)に生まれ変ります。
- 今後もラベルの一部変更が続きます。市町村合併にともない、原材料の生産地名変更や塩の変更、商品名の変更等。パンフレットは、これから作成に入りますが、平成18年冬までは、変更が続きますので、簡易に作りますので、ご了承下さい。
- 自分のみそ造りをもう一度ふりかえりました。私が造りたいみそは、皆様に毎日「おいしい」と喜んでもらえるみそです。そして物づくりの原点「手造り」をこれからも大切にしていきたいと思います。
年
このコラムを始めて、こんなに遅くなったのは初めてである。長期ゴールデンウィークを楽しんでいたわけでもなく、からだをこわしたわけでもない。毎日みそ造りという肉体労働をしていた。先月のコラムで商品のラベル変更の件で書きましたが、ラベルがまだ出来ず、進んでいません。ラベルが印刷されてから、ネットの写 真の差し換えを行いますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
私は今51歳です。50を越えてから、みそ造りという肉体労働がきついと感じるようになりました。年とともにからだの衰えがあると言葉の上では理解していたのですが、いざ、その年になってみると本当の事だと実感してしまう。コラムを書かなければと毎日思いながら、できなかった。
この体力の衰えを支えているのが「気力」である。50歳台まで生きてくると、どこかで人生経験の積み重ねからくる「心の余裕」…悟り…がでてくる。どうにもならない時は、どうにもならない。しなければならない時は、やる。自分でも、今、何を書いているのかわからないが、「気力」を失った時に、私は「老人」と言う世界に入るのであろう。「気力」のあるうち、この「時」を大切にしていきたい。
仲間
3月9日(水)東京の蒲田で、青森の木村秋則さん、北海道の佐藤剛裕さんと私の3人で酒飲みをした。木村さんは私の無農薬みその原材料のお米(無農薬無肥料栽培)、北海道の佐藤さんは大豆(無農薬無化学肥料栽培)を作ってくれている。
木村さんが農薬不使用肥料不使用栽培(旧表記、無農薬無肥料栽培)の技術指導で出掛けていた韓国の光州から8日(火)に東京に戻ってきており、9日(水)私は山形から東京出張のため、佐藤さんは北海道から東京出張のため、東京合流となった。 木村さんが4月にまた韓国に行くとの事で、私は「スローライフ談話室」の原稿を依頼した。佐藤さんも3月中旬から下旬にヨーロッパに行っているとの事。佐藤さんは東南アジアへの農産物の輸出を再チャレンジするという。
木村さんのリンゴ畑も田んぼも小さい。佐藤さんだって北海道の農家としては、小さい方であり、輸出して収入がどうのこうのというレベルには程遠い。商売にはならないと思うのだが、きっと「志」の問題なのであろう。私は大学生3人を抱え、みそ製造業の基礎と足元を固めるため。じっとしている。私もしなければならない事があるのだが……。
3人とも経営規模が小さい。お金も大変である。でも、それぞれに「志」があり、私にはありがたい仲間である。
損益分岐点
全国味噌工業協同組合連合会の会誌「全味弘報」2月15日号に味噌製造業損益分岐点分析(1)が掲載されている。これを見ると、みそ製造業は損益分岐点が高く、どうも大変な業種の様である。その中で売上高が多ければ多い程損益分岐点が低く、経営が安定し、売上高が少なければ少ないほど厳しい状況にあるとの事である。物を作って売ろうとすると、二つに別 れる。1つは、流通(店)もう1つは直販(個人)である。小さな小売店がつぶれ、小さな流通 がつぶれ、今や大手の流通時代になっている。はたや直販となると、人と人とのつながりがうすくなり、個人のお客様への商売も、インターネットだ通 販だと騒がれているが、昔に比べると非常にむずかしい時代である。大規模流通 の時代に大量生産できる大手は有利である。薄利多売とは言え、多売が大きくなればなる程。利益はさらに大きくなる。私は個人なので3月15日まで確定申告をしなければならない。会計事務所の先生から今回「10%コストを削減するか、10%販売価格を上げないといずれ、やっていけなくなりますよ。」と言われた。製造コストにおいては、大豆・米・塩等の原材料費の比率が高いとも言われた。私はいろんな試行錯誤をしているので、その無駄 も大きな要因になっている。でも私は自営業なので、生活をがまんしたり、つめたりする事ができる。生産量 が少ないという事は売上も少なく、利益(収入)も少ないという事だ。私は4代目であるが、昔から代々そうだったので、気にもしていない。生産量 が少ないという事は、売るという行為においては、どうにかなる範囲である。自分で楽しみながら、お客様に喜ばれながら、みそづくりをし、日本の豊かな食文化の復活を夢見て、今日もがんばっていきたい。
限界
いゃぁ 寒い! 去年の12月は、温暖化で冬がもう来なくなったのかなぁと思う程、雪が少ない月だった。年を越して1月。1月なのに寒中の2月の様だ。雪は多いわ、とにかく寒い。
1月、みそ造りをした。朝5時半には、麹の仕事とお釜に火を入れる所から始まる。みそ造りの合間に、敷地の雪はきを、1回ならいざ知らず、日には2度3度とやる。みその出荷もやる。夜8時頃、米を浸漬し、麹の床の切り換えしをしてやっと終る。妻は夜中の2時に麹を見に麹室に行く。これが毎日続く。妻と二人での仕事であるが、二人とも51歳。「こんな事、いつまで続くのかなぁ?」と50歳になってからの体力の衰えとともに嘆いている。
でも、自分の仕事と思っているから無理がきく。体力・気力の限界への挑戦が手造りであり、自然と時間は、私たちを甘やかしてくれない。また2月もみそを造る
新年にあたって
新年あけましておめでとうございます。旧年中は皆様に大変お世話になり、ありがとうございました。本年もよろしくお願い申し上げます。
時代はいつも流れておりますが、ここ数年前から、社会にとっても、個人にとっても、“分水嶺”の始まりになっている様な気がしてならない。どの様に変化していくのかわからないが、時勢に流されて生きていくのは危険な気がする。自分・家族・地域……と小さな単位 から(自己防衛も含めて)、自分の考え・生き方でしっかりと生きていかなければならないと思う。
長谷川の山形仕込味噌としては、時代の変化に流されて、無くならない様に、“原点”と“足元”をしっかり見すえて努力したいと思います。そして、皆様とのコミュニケーションをより一層深めさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
「スローライフ談話室」のお引越し
検索サイトgooが、今年の春、NTT-XからNTTレゾナント(NTT-R)に社名を変更しました。そして11月25日よりgooの「スローライフ」のコンテンツが「環境」に変わりました。私が企画している「スローライフ談話室」も「環境」のコンテンツに入りました。これからはgooのトップページの生活という大きなジャンルの中に環境というコンテンツが載っています。環境から食に入ってもらうとスローフードの中に「スローライフ談話室」があります 。
北海道
北海道 2004.11.01 10月10日(日)大豆の契約栽培農家をたずねて、北海道に行った。仙台空港の飛行機の予約の朝の便が台風で欠航となり、昼頃のフライトで行った。
10月11日(月)私の製品みその無農薬大豆を作ってくれてる上川郡剣淵町の佐藤さんの所へ行った。道々で防風林が倒れ、家や小屋の屋根がはがれ、ビニールが貼ってあった。台風のため、私が行く予定の前に大豆の刈り取りがおわっており、無農薬無肥料栽培の大豆のみがまだあった。試験的にはじめたもので、成育が遅く、刈り取りをしていなかった。夕方佐藤さんと知的障害者施設「剣淵北の杜社」をたずねた。農業・窯業・農産加工・さをり織りをしており、それらを販売している。私はみそ造り担当の職員の人とみそ造りの話をした。夜は、佐藤さんの自宅で、家族の人と一緒にジンギスカンとビールをごちそうになった。
12日(火)無農薬黒大豆を作っている鈴木さんの所へ行った。黒大豆はそれでも高いのに、黒豆ブームで、去年そして今年も価格が高い。今年は台風で京都の丹波の黒大豆が少ないとのこと。午後、私の仕込味噌の減農薬減化学肥料大豆を作っている石狩郡新篠津村の井伊さんを訪ねた。岩見沢駅に迎えに来てもらい、最初に二人でお世話になっている新篠津村農協を訪問し、椎野常務理事と伊藤部長のお話を聞き、そのあと大豆の選別 作業所を見た。井伊さんの家に行き、家族の皆さんと、やはり刈り取りがおわってにおづみされた大豆を見ながら話をした。剣淵の佐藤さんも言っていたが、井伊さんも台風で大豆の葉が落ち、順調だった成育があと一週間の所であった。完全に成育ができず、大粒の比率が例年より少なく、扁平した形のも例年より多い。井伊さんの小屋にもビニールが貼られ、台風で母屋が壊れるかと思ったそうです。夜、井伊さんとタップリ酒をのみながら、いろんな話をした。自然とは恐ろしいものであり、人間にはどうしようもない。
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